犬の緊急事態に備えて
出産を控えた人は心肺蘇生法を習い、初めての航海を控えた人は海での安全に関する講習を受けます。お勤めの方の中には危機管理に関する講習を受けた人もいることでしょう。犬の緊急事態を見抜く方法についても学びましょう。ここでは、よくあるシナリオとどの時点で獣医師に相談すべきかについて説明します。
シナリオ1:スパンキーがゲートをすり抜けて洗面所に駆け込んできました。そして、止める間もなく洗面台に上がると、あなたが腰痛をやわらげるために服用しようとしていたイブプロフェン(抗炎症薬)を飲んでしまいました。大丈夫でしょうか?
答え:イブプロフェン(ブルフェンなどに含有)、精神安定剤、アセトアミノフェン(タイレノールに含有)、さらには経口避妊薬も、1錠でしたら、興味津々だったあなたの愛犬に問題は起こらないでしょう。しかし、複数錠飲み込んだ場合は問題が起こるかもしれません。飲み込んだ錠剤が2錠以上の場合は、すぐに獣医師に相談してください。
シナリオ2:ボーダー・コリーのラッキーは、じっとしていられず、いつものボルボを追いかけました (色が赤なのです)。ところが、今回は跳ねられてしまいました。幸い、怪我はなさそうです。獣医師に診せた方がいいでしょうか?
答え:診せてください。怪我の多くは見た目ではわかりませんので、診察を受けてください。当然のことながら、呼吸困難になっているとしたら、それはとても危険な状態です。
シナリオ3:子犬を自然が豊富な公園に遊びに連れていきました。こんもりとした茂みのあたりでボールを探していたのですが、戻ってきたら脚に深い切り傷を負っていました。管理事務所などへ行ったほうがいいでしょうか?
答え:30分たっても出血が止まらない場合、あるいは歯茎が青白くなっている場合は治療の必要があります (歯茎が青白いのは、血が大量に失われていることを示しています)。
シナリオ4:隣に新しくやってきた雌のチャウ・チャウが気になった犬が、そばへ行こうとフェンスを跳び越えようとしました。ところが今は、脚をひきずっています。愛の教訓を学ぶ機会でしょうか、それとも診てもらった方がいいでしょうか?
答え:しばらくして脚を引きずらなくなったとしたら、おそらく大丈夫でしょう。体重をかけたがらなかったり、脚が不自然な曲がり方をしている場合は、かかりつけの獣医師に相談してください。
シナリオ5:ジョージアおばさんが、私の飼っているミニチュア・ピンシャーが痩せていると言って、ゴディバのチョコレートをいくつか食べさせました。チョコレートを食べさせるのは犬の健康によくないことは知っていますが、犬にとって危険なものなのでしょうか?
答え:チョコレートの種類と食べた分量によります。チョコレートは、純度が高いほど危険度が増します。製菓材料用チョコレートなら、わずか1オンス(約28g)でも、4.5kgほどの犬が中毒を起こします。ミルクチョコレートの場合は、約280g食べると中毒になります (ただし、そこまで食べなくてもひどくおなかをこわす可能性があります)。迷わず かかりつけの獣医師に相談し、どんな様子かを説明してください。
シナリオ6:ペットとキャッチボールをしています。がんばって教えているのですが、なかなかうまく捕ってくれません。やっと捕ったと思ったら、こんどはのどに詰まらてしまいました。どうしたらいいですか?
答え:たいていの犬は、口の中に詰まったものを吐き出しますが、気道に詰まってしまうこともあります。息苦しそうだったり、息をするのが大変そうでしたら、すぐに救急動物病院へ連れていってください。絶対に吐き出させようとしないでください。気道の奥に入ってしまう可能性があります。
緊急事態は予期せず起こります。だからこそ、起きたときにどうしたらいいのかを知っておくことが大切です。また、最悪の事態に備えて、かかりつけの獣医師の電話番号を携帯電話に登録しておいたり、対処方法の一覧や時間外診療をしている病院までの地図を印刷して仕事場に貼っておいたり、車のグローブ・ボックスに入れておいたりするとよいでしょう。なにしろ、いつ何が起こるかは誰にもわからないのですから。